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生涯現役

   

営業部長86歳 生涯現役貫く神戸の企業

 営業部長86歳、鍛造職人78歳-。「人生90年時代」を先取りし、2人の大ベテランが、神戸市兵庫区の造船関連会社を支える。フルタイムで働き、その営業力と、高い技術を存分に発揮。仕事に向き合う姿勢は、後輩社員への見本となる。社長は「うちは文字通り終身雇用。いつまでも…」と全幅の信頼を寄せている。(有島弘記)

 同区東出町の岡本鉄工合資会社。1905(明治38)年創業の老舗で、大型船舶のエンジン用部品などを主力製品として扱う。

 営業部長の忍海辺(おしんべ)栄造さん(86)は尋常高等小学校を卒業後、43(昭和18)年に15歳で入社。勤務歴は70年を超す。

 中学卒業後、香川県から神戸に出てきた大森幸夫(ゆきお)さん(78)は52(昭和27)年、16歳で入社し、働きながら定時制高校を卒業した。

 忍海辺さんは営業一筋、大森さんは加熱した鋼材を大型プレス機でたたいて成形する「鍛造」を担ってきた。

 同社の社員数は45人、平均年齢は41歳。65歳定年だが、2人を含め7人が再雇用で働く。バブル景気に沸いた80年代、3K(きつい、汚い、危険)の職場が敬遠され、同社は40~50代が極端に少ない。

 4代目社長の岡本圭司さん(55)は「バブル期の人手不足を支えてくれたのが、ベテラン2人。若手を採用する時間を稼げた。偉大な先輩で、恩人だよ」と感謝する。

 忍海辺さんは材料費の変動を読み、他社製品と比較するなどして、自社商品の適正価格をはじき出す。業界に精通し、経験に裏打ちされた数字。あとの商談は「ただ愚直に誠実に」と心得を語る。

 同社は業界に先駆けてコンピューターで自動鍛造するシステムを開発したが、複雑な構造物は機械だけで加工できない。若手、中堅にもまだその技量はなく、大森さんに出番が回ってくる。

 プレス機を操作するオペレーターに鋼材の位置や角度を調整させたたく。数センチ単位の仕事。大森さんは「図面を見ただけでできるものではない。打ったら、どうなるのか。想像力がないとあかん」。

 2人は共通して休日も活動的だ。忍海辺さんは月2回、ゴルフを楽しみ、畑仕事にも汗を流す。大森さんはテニスコートに通う。

 2人は引き際をどう考えているのか。忍海辺さんは「読みでは2年後に景気が良くなりそう。その時、万感の思いで退職したいわな」。大森さんは「テニスができる間かな」。

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